「女性はネクタイをしてはいけないの?」
「ネクタイを締めると変に思われないかな?」
この記事を読んでいるあなたも、そう感じたことがあるかもしれません。
近年、女性がネクタイを身につける理由は大きく変化してきました。
この記事では、国産ネクタイ製造に携わる立場から、女性がネクタイをまとう意味や新しい価値について解説します。
ネクタイを取り入れたいけれど一歩踏み出せない方や、ジェンダーにとらわれないファッションを楽しみたい方にとって、表現の幅を広げるヒントになれば幸いです。
目次
1、日本での女性用ネクタイの三つの位置づけ
2、ネクタイの本来の意味と効果
3、これからのネクタイの価値
・女性がネクタイをする理由 ~ネクタイを愛した女性たち
・ネクタイ以上の表現を叶えるアイテム
4、まとめ
1.日本での女性用ネクタイの三つの位置づけ
日本で女性がネクタイを身につけるケースは、これまで主に3つありました。
①制服としてのネクタイ
②カジュアルコーデのファッションアイテムとしてのネクタイ
③メンズビジネス同等の装いとしてのネクタイ
ネクタイ製造の立場から見ると、この3つは同じ「レディースネクタイ」でも目的や作り方が異なるため、それぞれ別のものです。
素材や縫製方法も違えば、着用シーンも違うのですね。
これまでの主流は、①制服と②ファッションアイテムとしての利用でした。
例えば制服であれば、好みに関わらず着用しなければなりませんよね。だからこそ、学生ならば着崩すためにノット位置を下げ、襟元を緩めにしてルーズさを楽しんできました。
企業等の制服であれば、一律なスタイルであることでその組織の一員であることを表現し、接する相手にはきちんとした印象や安心感を与えてきたと思います。
カジュアルファッションのアイテムとしてはどうでしょうか。
特に日本ではネクタイは企業戦士のシンボルというようなイメージもあった時期がありますから、レディースファッションの一部としてネクタイをしめるときは、”あえてのネクタイ”という位置づけで楽しまれていたと思います。
つまり、ちょっと周囲との差をつけ、装いを個性的にするファッションアイテムでした。
しかし、ここ2〜3年で新しい流れが生まれています。
日本で初めてのレディースネクタイ専門ブランド「Y.ties FLAG」 を立ち上げたのは2022年の冬のこと。メンズビジネス同等の、質の高いネクタイを女性や、小柄な男性に届けられるよう企画をしました。
規格の一番のポイントはサイズです。長さや大剣の巾を小柄な体格の方にあった規格にし、借り物感のない、フィットするネクタイに仕上げることで、上質な印象を演出できるようにしました。
そして、メンズにはないような色柄、素材も取り入れることで、フェミニンに仕上げる楽しさも感じて頂けるようにしました。
このようにして出発したショップには、当初から「メンズビジネス同等のとしての装い」を目的としてショップに訪れて下さる方も勿論いらっしゃいましたが、海外へのギフトや、外しアイテムのネクタイとして、上質なものをと求められる方が割合としては多かったのです。
けれど、近年はオーダースーツへの気軽さが増したこともあってか、スーツにネクタイをコーディネートし、
マニッシュに装う女性も増えています。
「ネクタイってかっこいい。でも、ちょっと女性がすると変に思われるかな」という懸念が、長年の間、ネクタイに関心がある日本人女性の間にあったのは確かです。
しかし、自由に装いたいという思いや、自己を適切に表現することへの願いから、そういった懸念への風穴が空いたように見ています。
今、メンズビジネス同等に、ネクタイを使った上質な装いが注目され始めています。
2、ネクタイの由来と効果
ここで、そもそもネクタイは本来どんな価値を持ったものかということについて書きます。
以前の記事にも書いていますが、ネクタイには、戦士に贈ったお守りが由来だったという一説があります。
私はこの一説がとても好きで、いつも誰かを応援したり、輝かせたりするものであってほしいという願いを込めてネクタイを作っています。
そして、ネクタイは心理的要素にとてもリンクしたものだと考えているのです。
例えばビジネスシーンにおいて、選ぶネクタイひとつで自分はどんな考えに沿っているのか、ということを表現できますね。自分をどう見せたいか、相手にどう感じてもらいたいかということは勿論、自分自身の気持ちを高めていくということにもとても役立ちます。もちろん、ネクタイに限らず、身に着けるもの全てで表現しているのですが、ネクタイは特に、顔に近いところに位置し、印象を左右するものですし、その人の考えや想いを表現する手段としてとても有効です。
3、これからのネクタイの価値
これまで見てきたように、ネクタイは、実はとても精神性の高いアイテムと考えられます。
そして、テーラードジャケットを着用しているのであればなおさら、Vゾーンを飾り、説得力を持たせますし、
女性がネクタイをするとき、男性よりもさらに、意味を持ちます。
これまでの歴史の中で、ネクタイは主に男性がするものであったからですが、そこであえてネクタイをするということは、よりその人自身を表現することに繋がるのではないでしょうか。
・女性がネクタイをする理由 ~ネクタイを愛する女性たち~
海外セレブやアーティストの中にも、ネクタイを好んで装いに取り入れる方は多いです。しかしそれは今に始まったことではなく、実はネクタイを愛した女性は昔から存在していました。これについては、おって、記事にしていこうと思います。
誰をとってみても、自分らしい生き方を大切にする中でネクタイを取り入れ、意志を感じさせる身に着け方をしていたのです。
・ネクタイより高度な表現としてのアイテム
ネクタイは今、自分らしい生き方を表すアイテムとしての意味合いを、深めています。
メンズビジネスにおいても、同じです。制服としての意味合いが薄れた今、タイドアップするということは、意図して自分自身を飾ることなのです。ネクタイをすることは、「私はこんな風に考えている」ということを表現し、自分自身にむけても宣言し、目指す方向へ進んでいくことを可能にします。
4、まとめ
もはや、上質なネクタイは、男性だけのアイテムではなくなったと感じています。
ネクタイをしめてみたい、と思われた方は、是非ご自身が取り入れやすい素材などからトライしてみてください。
プリントのシルクは柔らかく女性にもお勧めですし、しっかりとした素材であっても、女性の身体のラインに適したスタイルのネクタイは、あなたをとても魅力的に引き立ててくれます。ご自身にぴったりのネクタイでタイドアップして装いを楽しみ、ネクタイとともにあなたがあなた自身であることを楽しんでいただけたらと思います。